どくたー かじた

日本人の英語学習をイタリアで考えた

眠ってる力を解放!努力不要の英会話メソッド:1 敗因はメモリの使いすぎ!?

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 前回(0 はじまりはじまり)は、目的や読者対象を定義しました。今回は、英語が苦手な背景について「独断」を持って踏み込み、そして提案メソッドの基本思想を説明します。

さしずめ、「前菜」、という位置づけです。この前菜によって、食欲がそそられれば成功です。

 

英語が話せないのは本当に努力が足りないから? 

日本人は「英語が下手で有名」といっても言い過ぎではないでしょう。そして、まじめな私たちは英語が話せない理由を"努力が足りないからだ"と信じています。

通常、英語は中学から高校までの6年間、私たちは努力を重ねているでしょう。にもかかわらず、卒業後も通勤や就寝のちょっとした時間を見つけては英語を勉強し、修行を重ねています。

 

しかし高校まで英語を習っていれば、英単語数や文法のバリエーションは日常英会話に困らない十分の量を確保していると信じています。
実際、ヨーロッパ圏の人々の多くは多彩な英単語をしゃべりませんが、英会話はかなりのレベルです。

また日本語の日常会話を思い出してください。ニュースや政治などは別ですが、私たちもそれほど難しい単語を使っていないことに気づきます。「写真送った?」「あー、ごめんまだだわ」「クリスチャーノロナウド、あれは誰にも止められないわ」。などのレベルがほとんどです(少なくとも私は。。。)。

また、例えばスラングやことわざは高校英語を越えた範疇ですが、ネイティブは我々にそれらを使ってこないでしょう。たとえそれがビジネスの場であってもです(アメリカやイギリスの会社に勤めるなら別でしょうが)。なぜか。それらはヨーロッパ人エリートにも通じない可能性があるからです。私たちも日本語ができる優秀な外国人に、たとえ彼が日本語が堪能だったとしても、ビジネスの現場で、"犬も歩けば棒に当たるよね"、なんてことは控え、相手を思いやって論理的に正しい物言いをするはずです。

 

高校までで習う単語数の組み合わせで、日常会話からかなり抽象的な説明も十分説明可能と考えます。また文法にしても、高校まででほぼ全ての文法規則を習っているでしょう(私は高校で習わなかった文法規則にまだ出会っていないです)。

 

リスニングやスピーキングの努力が足りないのでは?これは王道の回答として間違いなく正しいです。英会話はすればするほど確実に上達します。ただし、通常の(英語圏ではない)西洋人も生活において英語を話す機会は多くないので、明確な英会話の差をこれで説明するのは難しいでしょう*1

 

となると「英会話ができない原因は単純な努力不足ではない」という仮説が生まれます。

 

なぜ日本人は喋れない

を考えるにあたり、逆の「なぜ西洋人は英語が話せるか」を考えるのは有益でしょう。

それは、

単語の言い換えだけで良いから

につきるでしょう。なので英単語さえ覚えればスムーズに喋れるし、議論するときの論理構築も正しく作ることができます。

 

それでは私たち日本人はどうでしょうか?

- 文法が違う。論理の順番がわからなくなる。
- 発音がむずかしい。

⇒単語の言い換えでは済まされない。なのでスムーズに喋れないし、論理構築もたどたどしい。

という私たちのハンディキャップが見えてきます。

 

文法の違いは納得しやすい事項かと思いますが、発音については意見が分かれるかもしれません。発音についてこのような意見も聞こえてきそうです。

"発音なんか気にするなよ、インド人とかひどいけど、きちんと通じているだろ。"

私の意見としては、「日本人は発音を気をつけた方が良い」と考えます。なぜなら日本人的に話すと音が分からないからです。たしかにインド人はネイティブ英語と発音が違い、時として判じがたいです。が、何の音を出しているか(出そうとしているか)分かるから通じるのだと思います。

 

ただ、多くの日本人は発音は気をつけている、と私は感じています例えばよく学校で注意される「 lとrの発音の舌の位置と動き」は皆さん気を使っていると思います。

でも努力以上の効果が上がってるでしょうか?そして、ここで私が指摘したいのは、日本人の発音における最大のデメリットは、舌の動きを気にしすぎて、思考への集中がかけてしまうこと、です。

 

私が考える日本人の英会話における障害スキームは、

文法と発音におけるハンディキャップ

→文法と発音への対応に頭のメモリを大量に消費

→肝心の話す内容に頭が回らない

→思考力の低下。「おれ五歳児なんじゃないか?」と自分自身で疑ってしまうような会話になってまう。

どころか、墓場から出たてのゾンビ状態で「あー。。。うー。。。あー」にもなれちゃう。

です。つまり

「キミの敗因は メモリの使いすぎ(ハート)」*2

 ではないかと!

 

ではどうする?

まず、「聞いてるだけで頭が英語脳になり英会話や発音が上達する」と期待することは諦めます。

これができるのは、そう、高校生くらいまでだと思います。実際、30歳くらいから十年以上もアメリカで暮らしている人で、びっくりするくらい発音が悪い人もいます*3。前回に読者対象を定義したので、このページは高校生以上の方が見ているはずです。

 

諦めてどうするか。

「大人のクレバーな戦略」を見せつけてやりましょう。

そして英語がもしも上手くなった暁には、できない大人を見て

「坊や だからさ。。。」*4

 とつぶやこう!

 

それにはどうするか。

本メソッドが攻める点を以下に示します。

  

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 図: (a) 日本人による日本語からEnglishへの変換機構と(b)イタリア人(西洋人の一例)によるItaliano(イタリア語)からEnglishへの変換機構。

 

日本人が思考した日本語をEnglishへ変換していく機構を、図(a)に示します。

私たちは考えるとき、言葉は使わなくとも頭の中で日本語を使用しています。ですから、特に英会話に慣れないうちは、まず日本語が頭から生まれます。

次に日本語は「言語コンバーター」にかけられます。これは主語発生装置、文法変換装置、単語翻訳装置の3つで構成されます。この言語コンバーターは日本語を「英語」にします。

最後に、英語は「音声変換機」によりEnglishになり、音声となって外に出ていきます。

 

では西洋人はどうでしょう?イタリア人を例にとったものを図(b)に示します。

彼らも当然思考するときは母国語を使いますから、まずはItaliano(イタリア語)が頭から生まれます。

そして、Italianoが言語コンバーターにかけられInglese(イタリア語でいう英語)に変ります。ここでポイントは日本人のものよりも非常に軽量なことです。まず文法変換装置が(ほぼ)ありません。また主語発生装置と単語翻訳装置も日本人よりもだいぶ小型です*5

最後にIngleseをEnglishにかえる音声変換機も日本人のものよりも軽量です。イタリア人はEnglishの発音がやや苦手だと言われます(例えばthの発音は苦手)。ただ、t, p, bなどの破裂音やr, lなどに困難はなく、日本人よりはEnglishを楽に話せます。

 

以上を理解して頂いた上で、本メソッドの哲学はズバリ

 

日本語からEnglishへの言語/音声コンバーターの軽量化

です。これにより、

English変換に用いているメモリを「西洋人並み」に縮小し、

思考の流れを遮らない英会話装置へ改良。

 もう、「あーうーあー」とはいわないのです!!!

 

それでは具体的なメソッドのアウトラインを以下に示します。

主に二つの「革命」からなります。

 

1. 言語コンバーター:語順の革命。

 逆転の発想です。つまり「日本語順のまま英語を喋る」です

まずはそれで話せるようになった後、西洋語順に移行すれば良いのです。

 

2. 音声コンバーター:発声の革命。そして発音 リスニング。

実は英語の発音方法ではなく、発声方法に問題がある可能性があります。

英語を話しやすい発声をしていないから、英語の舌先だけまねると人体の構造上無理のある動きをするはめになり、発声メモリを浪費します。

発声の革命を行い、ぐっとベースレベルを上げた後、日本人の苦手な音を省エネで直す処方を行います。

 

上記1と2について、次回、メインディッシュを2皿お楽しみください。

 

 

*1:正確には、彼らはほぼ単一民族である日本人よりは英語を話す機会があるかもしれませんが、それはほとんど50歩100歩です。

*2:ヒソカ, 冨樫義博, HUNTERxHUNTER, 集英社

*3:もしかすると、聞いてるだけで上達するような才能ある方もいるかもしれません。そのような幸運な方がうらやましい。

*4:シャア, 機動戦士ガンダム,

*5:イタリア語は主語をしばしば省くので主語発生装置は必要です。ただしイタリア語は動詞の活用で主語を明示化するので、主語が無くても主語があるようなものです。ですから日本人よりも主語発生装置は小さいでしょう。単語も語源を共にしているもののが多いので類似性が高く、単語翻訳装置も小さくなります。